“わが社は寒い家を建てます”と宣伝する会社はないでしょう。
しかし、新築に住み始めると寒さに不満がある人はたくさんいます。
ではどのように伝えれば、自分の考える快適な暖かさの家を手に入れることが出来るのでしょうか。
目次
① “暖かい”は人によって異なる
② “暖かい”の感じ方は状況次第
③ 健康に必要な室温は最低18℃
① “暖かい”は人によって異なる
子どもの頃、学校に一年中半袖半ズボンの友達はいませんでしたか?
私がとても寒いと思うような時も、その友達はストーブの近くの方が暖かくて
いいけど、なくてもいいと言っていました。その友達と私は、
“寒い”の感覚が完全に違っていたのです。
事務所で仕事をしていても、あるスタッフは寒いと言い、あるスタッフは暑い
ということがあります。
当たり前ですが、“暖かい”、“寒い”の感覚に個人差があるのです。新築に住み
始めたら寒いという話をよく聞きますが、理由を考えてみました。
直接的には断熱気密性能が悪いということですが、なぜそうなるかの最も大きな原因は、住宅の相談相手
(建築会社)のほとんどの人が暖かい家に住んでいないからだと思います。
人は自分のことを普通だと思うので、建築会社の担当者にしてみれば、お客様が求める“暖かい家”が
想像つかないのだと思います。したがって、自分の好みは、数字で伝える必要があります。
人は室温だけでなく、自分の周りの表面温度も感じるので、本当は室温だけでは不十分です。
室温だけでもある程度の目安になります。自分の理想の暖かさで暮らすためには、その温度感を分かってく
れそうな人に依頼するのが良いでしょう。
② “暖かい”の感じ方は状況次第
しっかり衣類を着込めば、とりあえず寒くはなくなります。しかし、家の中でダウンジャケットに綿入りの
ズボンをはき、モコモコのスリッパでは動きづらくて、家事をするどころか、トイレに
行くのも面倒になります。
そこで、私がお客様と暖かさのことをお話する時は、長袖シャツやトレーナーにチノパンぐらい
の服装で、ソファに座ってテレビを見たり、読書をしていても寒いと感じない室温を聞くようにしています。
だいたい20~24℃が多いです。
③ 健康に必要な室温は最低18℃
WHOは室内18℃以上が必要と言っています。これは最低レベルの室温で、
実際には21℃以上の方が快適とされています。
残念ながら国土交通省の調査では、家全体が18℃以上といった暮らし方
をしているのは10%に満たないと言われています。
布団の中に暖まっている時はもったいないから18℃以上は
いらないという方もいるかもしれません。
WHO Housing and health guidelines 2018には、18℃が健康のために安全でバランス
が取れた室温として推奨すると書かれています。
そして布団から出ている口鼻が冷たい空気を吸い込むと、
呼吸器系疾患を起こしやすくなることが分かっています。
赤線の部分に『18℃が健康のために安全でバランスが取れた室温として推奨する』と書かれています。
(WHO Housing and health guidelines 2018より)
まとめ
“暖かい家が欲しい”と漠然と伝えるのではなく、
「私は寒がりなので、室温は23℃以上で、寝室は寝ている間も18℃以上。
廊下やトイレ、脱衣室でヒートショックがない家にしたいです。
でも光熱費は年間25万円以下に抑えたいと考えています。」
と具体的に伝えるのが良いと思います。
メールやLINEでやりとりしたり、打合せ議事録に残してもらうと良いですよ。